ストレスチェック制度について
ストレスチェック制度について解説します。
ストレスチェック制度とは、従業員のストレスチェック(心理的な負担の程度を把握するための検査)と、医師によるストレスチェックの結果に基づいた面接指導の実施等を事業者に対し義務づける制度です。2015年6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)において新たに創設されました。また、それに伴い2015年12月1日からは従業員50人以上の職場で毎年一度定期的にストレスチェックを行うことが義務化されました。
一方、従業員数が50名未満の事業場については当面の間、ストレスチェックと医師による面談指導は努力義務となっています。
ストレスチェック制度の目的
ストレスチェック制度の主目的は、メンタルヘルスの不調を未然に防止すること(一次予防)です[1]。従業員のストレスの程度を把握し従業員自身のストレスへの気付きを促すとともに、ストレスの原因となる職場環境の改善に繋げ働きやすい職場づくりを進めることによって、メンタルヘルスの不調を未然に防止することができると考えられています。その背景には、精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最多を更新するなど、職業生活で強い不安やストレスを感じている従業員の割合が高い状況で推移しているという近年の状況があります[2]。
ストレスチェック制度のポイントは大きく分けて3つあります。
ストレスチェックの実施
- 従業員50名以上の事業場において、ストレスチェックを実施することが事業者の義務となります。
※50名未満の事業場は、当面の間、努力義務となります。 - 1年ごとに最低1回はストレスチェックを行うことが事業者の義務となります。
- ストレスチェックの実施者は、事業者に指定された医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士となります。
- ストレスチェックの調査票は、事業者が決定出来ますが、法に基づくストレスチェック調査票には、次の3領域を含むことが必要です。
- ①仕事のストレス要因
- ②心身のストレス反応
- ③周囲のサポート
- 実施者はストレスチェックの結果を本人に通知し、本人の同意なしに事業者へ提供することは禁止されています。
面接・指導・措置
ストレスチェックの結果の通知を受けた従業員の中に高ストレス者として面接指導が必要と評価された従業員から申し出があったときには、医師による面接指導を行うことが事業者の義務になります。医師による面接指導に基づき、医師からの意見を勘案した上で、事業者は必要に応じて従業員に対して就労上の措置を講じる必要があります。
面接指導と不利益な取扱いについての注意点
たとえば下記のような従業員に対する不利益な取扱いを行うことは法律上禁止されます。
- ①面接指導の申出を理由として、従業員に対して不利益な扱いをする事は法律で禁止されています。
- ②ストレスチェックを受けない事、事業者へのストレスチェックの結果を提供しない、面接指導要件を満たしているにも関わらず申出をしないことなどを理由とした不利益な取り扱い
- ③面接指導の結果を理由とした、解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等も行ってはいけません。
集団分析、職場環境の改善(※努力義務)
- 実施者は個人のストレスチェック結果を集団ごとに集計・分析し、職場ごとのストレスの状況を把握します。
- 集団ごとの集計・分析の結果は実施者から事業者に通知され、事業者は職場環境の改善のための取り組みを行います。
ストレスチェックの流れ
ストレスチェック制度の注意点
最後に注意点を解説します。
ストレスチェック実施者についての注意点
ストレスチェックの実施者には人事部などで人事権がある方は実施者にはなれません。事業者に指定された医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士となります。また実施者はストレスチェックの結果を本人に通知し、本人の同意なしに事業者へ提供することは禁止されています。
まとめ
ストレスチェック制度は制度をきちんと理解することで職場環境の改善に役立てることができるかもしれません。自身の身の回りから見直してみてはいかがでしょうか?
ストレスチェック制度についての疑問は解決しましたか?もしまだご不明点やご質問等ありましたら問い合わせください。