ストレスチェックの3領域とは

ストレスチェックの3領域とは?3領域のそれぞれの目的とは

ストレスチェックをする際に用意する調査票には、最低限必要な要件として下記の3領域を含むことが労働安全衛生規則によって規定されています。

  • 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
  • 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
  • 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

職業性ストレス簡易調査票について

厚生労働省はストレスチェックの項目として上記の3領域を含んだ「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を用意しており、それを使用したストレスチェックの実施を推奨しています。また、職業性ストレス簡易調査票(57項目)には簡素化した23項目の調査票も存在しており、メンタルヘルス対策としては57項目の調査票を使用し深く検査することが望ましいとされていますが、23項目の調査票でも問題はありません。

簡易調査票では、上記の3領域を下記のように呼称しています。

  • 仕事のストレス要因
    職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目のことです。
  • 心身のストレス反応
    当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目のことです。
  • 周囲のサポート
    職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目のことです。

事業者がオリジナルの調査票を作成してもいいの?

上記の3領域を含んだ調査票であれば、事業者のオリジナルの調査票でストレスチェックをすることが可能です。ただし、厚生労働省ではあくまでも「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を推奨しているようですので留意が必要です。

また、新たに選定する項目には一定の科学的な根拠が求められています。

オリジナルの調査票を作成するときの注意点

ストレスチェックの目的は性格検査や適性検査ではないため、労働安全衛生法に基づくストレスチェックと銘打ってそれらを行うことは不適当であるとされています。

また、希死念慮や自傷行為に関する項目は早急な対処が必要となることから、企業の対応の体制が不十分である場合には検査項目に含めべきではありません。

上記以外であっても、うつ病などの精神疾患の検査ではないことに留意して項目を選ぶ必要があります。

ストレスチェックの各領域について

職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目(仕事のストレス要因)

仕事のストレス要因としては、仕事の作業環境、労働時間、仕事の量や質、転勤などの職場移動や上司、同僚などとの人間関係などが挙げられます。この項目は仕事でどれくらいのストレスを感じているかということを表しています。

調査票の内容としては、どれだけ仕事が難しいか、仕事のことをずっと考えていなければいけないかなどの仕事についての項目や、職場における労働者の心理的な負担の原因についての項目などです。

当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目(心身のストレス反応)

心身のストレス反応としては、仕事によるストレスが原因で憂鬱感がある、体に症状が出る(頭痛や胃痛他)などのストレス反応が挙げられます。この項目はストレスで心身にどういった反応が起きたかを表しています。

調査票の内容としては、自分がどんな感情なのか(元気がある、不安だ、集中ができないなど)といった項目や、体に出ている症状(目が疲れる、食欲がない、眠れないなど)についての項目、心理的な負担による心身の自覚症状についての項目などです。

職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目(周囲のサポート)

周囲のサポートとして、自分の身の回りに頼れる同僚や上司、家族が存在しているかが挙げられます。この項目は同僚や上司、家族にどれほどサポートしてもらえているかということを表しています。

調査票の内容としては、上司や同僚、家族に対しどのくらい気軽に話ができるかといった項目や、それらの人たちがどれくらい頼りになるかといった項目などです。

質問項目の例

調査票に含める3領域についての具体的な質問例を記載しますので、参考にしてください。

「仕事のストレス要因」の例

簡易調査票では次のような質問で「仕事のストレス要因」を評価します。

  • Q,時間内に仕事が処理しきれない
  • Q,高度な知識や技術が必要なむずかしい仕事だ
  • Q,自分のペースで仕事ができる
  • Q,職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
  • Q,私の部署内で意見のくい違いがある
  • Q,私の職場の作業環境(騒音、証明、湿度、換気など)はよくない
  • Q,仕事の内容は自分にあっている
  • Q,働きがいのある仕事だ

「心身のストレス要因」の例

簡易調査票では次のような質問で「心身のストレス要因」を評価します。

  • Q,活気がわいてくる
  • Q,生き生きする
  • Q,怒りを感じる
  • Q,内心腹立たしい
  • Q,仕事が手につかない
  • Q,腰が痛い
  • Q,胃腸の具合が悪い
  • Q,よく眠れない

「周囲のサポート」の例

簡易調査票では次のような質問で「周囲のサポート」を評価します。

  • Q,どのくらい気軽に上司と会話ができますか?
  • Q,あなたが困った時、職場の同僚はどのくらい頼りになりますか?
  • Q,あなたの個人的な問題を相談したら、配偶者、家族、友人などはどれくらいきいてくれますか?

3領域以外の質問項目

厚生労働省の提供する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」では上記の3領域に含まれない質問項目も存在しており、ストレスチェックを行う上での評価対象に含まれています。

それは「満足度について」です。その内容は仕事、家庭生活への満足度を問う質問となっており、ストレスチェックの実施者(医師など)がストレスを評価する際に従業員のストレス状況に対する理解を深める一助となります。

まとめ

ストレスチェックにおける3領域は必ず調査に含めなければいけない内容です。その趣旨をきちんと理解して、ストレスチェックを実施しましょう。

もしまだご不明点やご質問等ありましたら、ぜひお問い合わせください。

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